塾講師にビラ撒きという
仕事があるのを僕は知らなかった・・・

そんな事・・・

以前
僕は上司Sに噛みついた。

「あなたもやったらどうですか?」

「校舎責任者が
 そんな仕事できるわけがないだろ!」


「そんな仕事を
 僕らにやらせるんですか。あなたは!」

そう上司Sに吐き捨て
僕はビラを持っていった・・・

そんな彼も
ビラ撒きをしてはいけない!
という日があった。

それが 


雨の日だ。

「傘で手がふさがっているのに
  ビラ渡されても迷惑だろ・・・」
 

卒業・入学式の

もっとも
ビラ撒きするのに適した時期。

塾の集客で最も大事なのは新中1。

そこに
ダイレクトにアプローチできるからだ。

上司Rのもとで
その季節がやってきた。


ある中学校の入学式の朝。


雨が降っていた・・・

(やったぜ! 中止だ!)

一応
上司Rに中止ですよねと
ケータイで確認する。

しかし
決行せよ!との連絡。

(はあ~~ ふざけんなよ!)

彼の上役であった
上司Sにこの悪行を報告する。


しばらくしてメールきた。

行ってやってくれ・・・と   

気のみ・・・

新規開校した校舎。

僕はそこに異動になった。

異動の良いところ。

しがらみがなくなり
気分がスッキリすること。

苦手な生徒・保護者と縁が切れる。

さらに
新規開校だと
生徒がいない準備期間がある。

仕事が少ない。
したがってストレスも少ない。

上司Rは
満面の笑みを浮かべて言う。

「俺こんなに早く帰れるの久しぶりだよ」

でも
一旦緩んでしまったネジを
元通りに締めるのは難しいのだ。


「意外と仕事しないんだね・・・」

僕ら部下から
陰口を叩かれていることを彼は知らない。

これは
僕らの彼に対する
評価が高かったことに起因する。   

なぜここに店したの?

予想以上に生徒が集まらない。

上司Rが僕に愚痴る。

「ちょっと
 これ見てくれよ・・・」

市場調査の数値だった。

僕らの会社が
ターゲットとする顧客層が
少ないというデータが示されていた。

「なんで
 この場所に出店したんだよ・・・」



オープンすれば
全てが現場の責任になる。

それが会社の不条理。

この支店の業績不振を何とかしろ!
お偉いさんからのプレッシャー。

上司Rは追い詰められていた・・・
  

上司Sは
彼の苦境を察したのであろう。

僕は上司Sと
何度もバトルをしたが信頼していた。

だから
ビラ撒きにいった・・・  


出ないのであれば・・・

せめて
頑張っていますアピール
しなくてはならない。

ビラ撒きしたって
効果は高が知れている。

数百配布して
1件の問い合わせがあれば
御の字だ。


でも今回は・・・

ビラ撒きをしたという
事実を作ることが大事なのだ。


上司Sは時々言葉の選択を誤る。
そして言葉が足りない。

「そんな仕事・・・」は失言だ。

でも的を射たことを言っていた。

時間差で僕に響くのだ。


ビラ配りの発言もそうだ。

確かに
トップが行くべきではない。

校舎責任者自ら
ビラ配りしている
塾に行きたいだろうか。

この塾、流行っていないのね・・・

と顧客に思われるかもしれない。

何よりトップは謝るのが仕事だ。

ビラ撒きの後
クレームが来ることがある。

道路にビラが散乱しているぞ!!


そのような対応をするために
責任者は会社に待機するべきなのだ。

自分がその立場になって分かった。


ただ
この時は納得できぬまま
ビラ配りに行ってしまった。   

口が二つ・・・

初めて行く学校だから
不測の事態が生じる・・・

校門が二つ。
両方から生徒と保護者が出てくる。

半分しか配れない・・・


そして目の前に
 

そう子どもに言い

鬼のような形相で
こっちの方を睨む保護者がいる。

僕らの塾で
中学受験を失敗し
公立中に進学した生徒の保護者だ。

(そりゃ そうだよな・・・)

当然の報いだ!

でも、ツライ・・・

これがあるから
入学式のビラ撒きは嫌なのだ。  

リーダーは

部下にリーダーの辛さは
理解できないだろう・・・

仕事していないように見えて
意外と仕事は多いのだ。

なんで
会社って報告ばかりさせるのだろ・・・

しかも
それを活かしている様子がない!

意味のない仕事が
多いような気がしてしまった。


さらに上司は
部下に仕事をさせなくてはいけない。

やらせるために
嫌われる覚悟が必要なのだ。

僕にはなかった・・・

友達感覚で部下と接していた。

陰口を叩かれるのがイヤだった。

それでも
色々と言われていたと思う。

上司になった僕は思う。

上司Rの方が
やはり僕よりずっと優秀だった。


適材適所という言葉がある。

どんな場所でも
活躍できる人なんていない。

この時
上司Rは場所を得られなかった。


でも彼は諦めなかった。

そして
今は新天地で花を咲かせている。

作:帰ってきた兼好法師
Twitter:@Kenkohoshi_R

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