僕は塾講師だったけど
営業電話も重要な仕事だった。

だから
それをする人の気持ちが
少しだけは分かる。
資料請求しただけなのに
40を超えた僕。
少しずつ
結婚に対する焦りが出てきた。
マッチングアプリでは
詐欺の被害に遭いそうになった。
だから
有名な結婚相談所に
とりあえず資料請求をしてみた。
すると、すぐに
電話がかかってきた!

まずは資料請求のお礼。
そして
「〇〇さんが
『あなたと
出会えることを楽しみにしています!』
こんなメッセージを頂いております!」
(・・・・・かなり怪しいぜ!)
「いかがでございましょう。
こちらにお越し頂けないでしょうか?」
「実際にお会いした方が
詳しいご説明ができるかと思います!」
「○○様は
平日と休日のどちらが
ご都合がよろしいでしょうか?」
出た~!!
必殺!
行かない選択肢を与えない作戦!!
ここは
スゴイ営業をかけてくると直感した。
(暇だから乗ってやるか!)
「平日です」
「で、ありましたら
本日ちょうどカウンセリングの
空きが出まして・・・」
「通常ならば
早くても1か月先なんですよ。
今日いかがでしょうか?」
(ウケる。・・・ウソつけ!!!)
「へ~~~
そうなんですか。それはついてますね。
では、本日伺いますね」
僕の塾でも
資料請求があったら
郵送せずに会うアポをとれ!
という指導があった。
少しは興味が
あったので行くことにしたのだ。
女性が男性に求めるもの
「それが何がご存知でしょうか?」
いきなり相談員に言われた。
「え~~~何でしょう?
やっばり経済力ですか?」
「いや違うんですよ!それは」

なんとなく分かる気がした。
アンケート結果の
円グラフを見せられた。
(確かにね・・・)
ディスられる・・・
「○○様
もう40を超えてらっしゃる・・・
その前に来て頂ければ良かったのですが。
正直厳しい戦いとなると思います」
「一応ご希望の条件でお調べしますが
ヒットする件数は少ないと思いますよ」
(やはり。遅いよな・・・・)
「あれっ?
意外とヒットしましたね・・・」
(こいつ、やるな・・・)
一旦、期待値を下げることで
希望をより強く持たせるテクか!
料金が高い・・・
これを見た瞬間。
(入会するのは厳しいなあ)
(毎月こんなにかかるの!)
(払えなくはないけど・・・)
自分の
プロフィールを
作るのも面倒くさい。
指定された写真館に
行かなくてはいけない。
そこは
僕が就職活動で利用した
有名なお店だった。
「○○様の場合
普段通り写してもらえば
十分魅力が出ると思いますよ!」
僕を持ち上げる。
「ただ
眉毛を手入れすれば
もっと印象が良くなりますよ!」
ただヨイショするだけではなく
しっかり
修正点を言うことで言葉に説得力が出る。
やり手な相談員だった。
ただ
このアドバイスは実際役に立った。
僕は
この日以降しっかり眉毛を
整えるようにした。
追い込みが始まる!
まずは料金の正当性。
マッチングアプリとは違い
身元がしっかりした人しか
登録できないこと。
男性と女性の料金が同じであること。
出会えるイベントの多さ。
そしてフォロー体制などを説明。
そして最後に
「○○様、思い出して下さい!」
「女性が男性に求めるものは
何でしたっけ?」
「決断力!!」
「そうです!
今、決断しましょう。
ここで決断力をつけましょう。
それで幸せに大きく近づけます!」

見事に伏線を回収された。
(でも・・・高いよ!)
だから
入会することは絶対にない!
そう決断した。
はっきり断ることだって
決断力が必要でしょ・・・(笑)
やっぱ
マッチングアプリだね。
以前にも使ったことあるし。
しかし
その必要はなかった。
「しばらく距離を置きましょう・・・」
そう僕に言った恋人に
このエピソードを話した。

しばらくして
彼女のココロは
僕の元に戻ってきたのだった。
作:帰ってきた兼好法師
Twitter:@Kenkohoshi_R