僕はmさんに二度泣かされた。

最後の宿題・・・
「志望校合格!それが宿題」

僕は2月1日直前の
最後の授業でそう言っていた。
第一志望校とは言えない・・・
よくある受験パターン
大体、1月中に
埼玉・千葉県の学校で
合格を経験させる。
自信を持ってもらうために。
だから
絶対に受かるであろう学校を
塾は受験するように勧めると思う。
これには
2月1日が初めての入試というのを
避けるという意味合いもある。
いきなり第一志望受験はきついので
1月に練習させておく。
入試本番の雰囲気を体感するのだ。
また
1月入試の結果が
2月1日以降の受験校を
選定する上での材料となる。
入試直前期には模試が少ないため。
それでも
たまに出てしまうんだ。
全滅する生徒が・・・
特に
1月入試で1校も合格できないと・・・
その可能性が高い。
その状態のまま2月に突入したmさん
結果は案の定だった・・・
君は
僕との約束を守ろうとした!
でも
ある日1通の手紙が塾に届いた。

mさんのお母さんからだった。
その報告に僕は驚かされた・・・
私立中合格を知らせるものだった。
えっ??? どういうこと・・・
mさんはお母さんを困らせた。

僕が最後の授業で言った
あの言葉を・・・
真に受けていたのか。
「私、先生と約束したんだ。
絶対に合格するって」
受験壮行会を思い出す!
僕のいた塾では
1月入試が終わった後に
開催していた。
一人ひとりと握手を交わす。
「私、絶対に合格するからね!先生」
「うん、分かった!期待しているぞ」
mさんにそう言った僕ではあるが
彼女の1月入試の結果を考えると
合格は厳しいだろうなと思っていた。
お母さんは
mさんの言葉を聞いた後
必死で追加募集している学校を探した。
本来であれば
僕らがやらなければならないのに。
そして
mさんは決して広くはないであろう
試験会場で一人で戦っていたのだ。

いつのまに
mさんはこんなにも成長したのだろうか?
トラブルを何度も起こし
さんざん僕らを泣かせてきたlさん。
君は宿題を忘れることも多かったね。
でも
最後に一番大事な宿題を
君は見事にやりとげた。
僕は君に二度泣かされた・・・

作:帰ってきた兼好法師
Twitter:@Kenkohoshi_R
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