
入試応援
入塾当日。
受験生に応援するために
校門前に塾講師が大集結する!!!
そんなイベントがあるなんて知らなかった。
だって
僕を応援してくれた先生はいなかった。
それを知ったのは塾講師になってからだ。
恐ろしい程の同調圧力

「2月1日
入試応援に行けない人はいますか?」
講師ミーティングで
上司が職員全員に向かって問う。
手を挙げるものは誰もいない。
挙げられるわけがないのだ。
この瞬間が毎年堪らなく嫌なのです!
その同調圧力が・・・
教えたことのない
生徒の応援にいけますか????
僕は受験学年を
毎年担当していました。
だから
行く覚悟はできているのです。
でも・・・
そうでないバイト講師
パートの方にまで応援に
行かせるのはおかしいと思うのです。
顔も知らない生徒。
「こんな顔しているから」
そう写真を見せられたところで
判別できるわけがないですよね。
もちろん給与は出ますよ。
確かに1200円くらいかな。
僕が入社した頃は
交通費しか出ませんでした。
ただ立っていて
握手するだけで1200円もらえる
楽な仕事だと思われるかもしれません。
しかし
実際は楽ではないのです!!!
入試応援は苛酷な業務!

まず寒さ。
殆ど動かず立ったまま。
末端が冷える・・・
強い風が体温を奪う!
雨、雪が降っていたら、もう最悪。
私語も禁止されているのです。
僕がいた塾では
生徒に対しても一言程度
と決められていました。
自分の生徒を応援したら
終わりではありません。
自分が所属している塾の
生徒全員を応援しなければ
ならないのです。
気持ちが入るわけがありません。
正直に言うと・・・
なので
無給だった頃は
自分の塾の集団には加わわらず
すこし離れた場所に待機し
自分の生徒が来たら速攻で帰る!
そんなセコイことをしていました。
ウォーリーを探せ状態!

駅から近い学校だと
一遍に来ることがないから判別が容易。
でも駅から
その学校のバスで送迎されてしまう
とキツイのです。
生徒がドバっと一気に出てくる!!!
その中から
ターゲットを発見するのは
かなり難しいのです。
ゆえに
その生徒を教えたことのない講師が
そのミッションを完了するのは困難。
その塾の応援集団に
来てくれる生徒なら問題ないです。
でも
敢えてその集団を
避ける生徒もいるんです。
そういう場合は
呼びかけなくてはいけません。
ほとんど知らない生徒の場合
そんなことできるわけない
じゃないですか???
それから
あと校門の数が複数あるのも厄介した。
最後の誠意を見せる時

僕たちは
集合時間の大体1時間前までに
到着するようにしていました。
ある年の入試応援。
同僚からメールが!
「○○さん、駅で見かけましたよ!」
「え〜マジで!!」
駅までダッシュ!!!
寒さ対策で着ていた
ヒートテックが無駄に熱くなるのです。
その学校の
最寄り駅からタクシーを利用。
間に合わず・・・
「お陰様で
他の先生に応援して頂いたので・・・」
うお~~ 嫌味〜~~。
申し訳ない気持ち半分。やるせなさ半分。
入試応援は
最後の誠意を示す時なんです。
もちろん予告はしませんよ。
行けない可能性もありますから。
でも不合格が続いている
生徒には約束してしまうのです・・・
こっそりとね。
その当日。
鬼のような形相で
僕を探しているその保護者。
もし行けなかったら・・・
想像しただけで恐ろしい。
気まずい瞬間がある!

退塾した生徒と再会。
もちろん
何も声はかけられませんよ。
そして
受けるはずではない
学校で会ってしまった時も・・・
信頼されていない証拠なんですよね。
学校の接待???

募集に苦戦している学校は
印象を良くしようとしているのかな?
ホットコーヒーや菓子パンを
配ってくれる学校。
学食で使える食券をくれる学校。
講堂に食事を準備してくれる学校。
生徒に豚汁を作らせて
塾の先生に振る舞ってくれる学校。
様々な『おもてなし』を受けました!
それも入試応援の醍醐味???
生徒のためという
美名のもとに・・・
だから
長い間無給で行われていたのです。
生徒に会えなかったのは
不問に付されますが・・・
すっぽかしは大罪になります。
ある年の入試応援。
上司が
予想より早く校舎に戻っていました。
ある同僚曰く
「校長、もういたんだよ。
その時間に戻って来れるの???
おかしくない?どん兵衛食っていたよ」
みんなで疑いの目を向ける。
自分が大罪人ではない場合
そんな話で大いに盛り上がるのです。
確かに非難しています。
でも
みんなそんな話が好物なんですよ。
その年
その上司は影で「どん兵衛」と
呼ばれることになりました。(笑)
入試応援は廃止すべき!
そう思います。
今回の入試ではコロナ禍の影響で
例年通りには行われないでしょう。
僕は未来永劫なくしてほしいのです。
廃止すべきである理由①
2月1日(第一志望集中日)
全員の応援には行けない!
その校舎総動員しても。
だから選別が行われるです。
「ここの親はうるさいから
校長が行ったほうがいいでしょう」
「ここは志望校対策の先生が
たくさんいるから行かなくてOK」
そんな会話がなされるのです。
もちろん
1月入試を含めれば
全ての生徒に1回は応援行ける。
でも
本当は第1志望の学校に来てほしい。
そう多くの生徒が思っているでしょう。
公平性を保つことができないのです。
塾に通っていない
受験生との間においても。
廃止すべきである理由②
講師にかかる負担が大きい
最近の合否発表はネットが主流。
夜遅くになるケースもあります。
塾としては一刻も早く
数を集計したいので結果を
確定させなくてはなりません。
だから結果連絡の電話を待つのです。
合格していれば
すぐにかけてくるケースが多いけど
そうでなければ・・・
結局こっちから
かけることになります。
帰りが終電間際になることもありました。
今は働き方改革の影響もあり
22:00以降は翌日に変更されたのですが
それでも
睡眠時間がかなり削られます。
合否連絡で
神経をすり減らしているのです。
連日の早起きは
負担が大きいのではないでしょうか。
これはあくまで僕の個人的な見解ですが。
入試応援の効果

正直
入試応援に行ったところで
点数が上がるわけではありません。
ただ入試会場に
知っている先生がいると
安心する生徒もいるのも事実です。
入試応援に来てくれた先生にだけ
お礼の品を持ってくる保護者もいました。
(かなり少数派ですけど)
合格した連絡も応援に来てくれた
先生を指名することもあるんですよ。
僕も入試応援で
色んな経験をすることができたのです。
受験生らしさが
ほぼゼロだった生徒が
「先生、頑張ってくるよ!!!」
と力強く握手してきた顔が
凛々しく見え感動を覚えてしまうのです。
連敗して生徒にかける言葉。
前日に一生懸命考えるんです。
一言ルールは無視です!
反応は薄く、結果は不合格だった。
(僕の言葉が
響かなかったのかな・・・)
そう後悔するのです。でも
「先生の言葉を聞いて
あの後、うちの娘泣いていたんですよ!
本当にありがとうございました。」
そう保護者に
言われたことがあります。

それでも僕は訴えます!
入試応援は廃止すべきであると!!
作:帰ってきた兼好法師
Twitter:@Kenkohoshi_R
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