十数年前の話。
毎回漢字テストで
不合格になる生徒を残して説教をした。

そんなヒドイ言葉を浴びせた。
彼は表情一つ変えなかった。
(全く響いてない・・・
こいつに感情はあるのか???)
勉強しなければ合格できない。
なんで
そんな当たり前のことが分からないのか!
彼の忘れ物・・・
そんなある日のこと。
忘れ物チェックしていると
携帯電話が机の中に残っていた。
当時は
二つ折りのガラケーが主流。
開けた瞬間。
うっ・・・

絶句してしまった。
その待ち受け画面には
志望校の校門の前で
満面の笑みを浮かべる彼がいた…
受験生だった頃の
自分の姿を思い出した
小6の2月。
第一志望の私立中学に落ちた日のこと。
「お兄ちゃんどうしたの?」
布団の中でくるまっている僕を見て
弟がそう言う。
「そっとしてあげなさい…」
母のその声が布団の中で聞こえた。

涙が出なかった。
出そうしたけど出なかった。
だって僕
全然頑張っていなかったもん…
落ちるに決まっている。
志望校判定もいつも最低だった…
受かる要素は何一つなかった。
でも
もしかしたらと思ってしまう。
試験も全然手ごたえはなかった。
でも
僕の頭の中では五分五分だった。
なぜそう思えたのか?
学校の担任によくこう言われた。

かしましいと読む。
その意味はやかましい。
それが
ちょうど入試問題に出題されたのだ。
たった1問だけなのに…
何かキセキが
起こった感じがしたのだ。
本当にバカだった。
彼と当時の僕の姿が重なりあった…
もう絶対に言わないから
そうだよな…
分からないよな…
実際に落ちてみないとね。
ごめん。
本当にごめんなさい。
もう「落ちるぞ!」なんて
絶対に言わないから…
でも
もう少し頑張って勉強しようよ。
先生は落ちた時の辛さを知っている。
それを君に味わって欲しくないんだよ…
心の中でそう呟いた。
勉強嫌いでも合格したい
ヘロヘロながら塾に来る。
勉強嫌いなのに塾を辞めない。
なぜ…
それは志望校に絶対に合格したいからだ。
もし、その気持ちさえ
なくなってしまったのであれば…
中学受験を
諦めるタイミングかもしれません。
作:帰ってきた兼好法師
Twitter:@Kenkohoshi_R
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