うちに庭には薔薇があった。


幼い頃
その棘をツバで鼻につけ

「天狗だぞ~~~」

と言って遊んでいた。

プロポーズする!
そうめた日のこと

そうだ!
プロポーズをしよう!!!

  


突然
そんな感情が湧き上がった。


僕に異動の内示が出た。

引っ越しをしようと思った。


そっか!!!

だったら
プロポーズすればいいんじゃん!


訳の分からない衝動!

あれほど
求婚するのを躊躇していた僕。

何かに突き動かされたのだ!

これだから感情は怖い・・・


まだ家具も何もない部屋。
  


彼女の部屋となる場所で
サプライズのプロポーズをしよう!!


そんな考えが思い浮かんだのだ。


だから2LDKの部屋を探す。  

計画行の朝

新築の物件を契約。

二人で新しい生活を
スタートさせるのだからね。


あとは
婚約指輪を購入しよう。

新居の契約が
スタートする日にプロポーズ。

そんな計画を立てた。
  

当日
彼女が来る前に花屋でこれを買う。
  


12本購入。

本当は
108本がプロポーズに相応しい。


でも高い。

一本500円也。


12本でも
求婚の意味合いがあるのでそうした。

薔薇の花束を買うのは
もちろん初めて。

少し緊張した。
  


薔薇の花束を持って歩く僕。

もっと
それが似合うシブイ男でいたかった。


でも現実は違う。

何だか恥ずかしかった。

「今から僕はプロポーズするんですよ!」

そう言いながら歩いているようで。


誰も見ちゃないのにね。  

切ない

僕は花瓶を購入していた。

その薔薇を入れるための。


なんでかって?

彼女がそれを持って
帰らないと思ったからだ。


彼女のご両親に
僕らの交際は猛反対されていた。

結婚の許しを得るのは時間がかかる。

彼女が
薔薇とともに家に帰れば
摩擦が生じる・・・

だから
その花束は
僕の部屋に飾られることになる。

そう考えた。

悲しい用意だった。  

後の準備

彼女の部屋となる場所に

薔薇の花束

そして

その下に指輪を置く。

今この部屋に
置かれているはそれだけだ。


でも
僕は婚約指輪を準備できなかった。

知識不足が原因。

プロポーズリングを
ジュエリーショップから借りた。


彼女を駅まで迎えに行く。

そして二人で歩く。  


これから起こることを想像して

少しドキドキしていた・・

でも
不思議なことに
失敗するとは全く思わなかった。 

なんでだろう・・・


やがて新居に到着する。

部屋を紹介していく・・・

「うわあ~~~
 リビングこんなに広いんだ!」

「IHなんだね~~~」


彼女は
のんきにはしゃいでいる。

もっと大きな衝撃が
待っているのを知らずにね・・・・


そして

ついに!!!

あの部屋の前へ・・・

「ここ開けてみてよ!」

そう僕が誘う・・・・  

ついにその間が!!!


あっ・・・・

そう呟いたのが聞こえた。 

が時間が・・・

2月のある日のこと。

その作戦は実行された。


僕は一つの失敗を犯した。

指輪のラッピングを
そのままにしてしまった。

だから
彼女が箱をあけるのに時間がかかる。

でも彼女は
自分がどんな状況に
置かれた理解しているはず。


ダイアモンドっぽく見える
リングがやっと姿を現した。


お互い無言・・・


(こういう時って
 なんて言えばいいのだろう)

全く考えていなかった。


指輪を見たら
何か彼女がリアクション
してくれると思った・・・


でも

彼女は
薔薇の花束をずっと見て
うっとりしているだけ・・・


(どっ

 どうすればいいんだ・・・)


あの恥ずかしい言葉を
言わなくていけないのか!


(え~~~い 言うしかない!)


「ぼ、僕と結婚して下さい・・・」


やっと彼女は僕の方を見て

「はい・・・」

そう言うと
僕の胸に飛び込んできた。


この時
Superfiyの「愛をこめて花束を」が


僕の心の中では流れ始めていた・・・


唇を重ねた・・・

何度も何度も。


何もない部屋。

ひんやりした床。

すっかり僕のお尻は冷え切っていた。


お尻が凍ってもいい。


いつまでも
いつまでも
この時間が続いて欲しかった。


二人で婚約指輪を
買いに行く日を決めた。


でも
ここから長い闘いが始まるのだ。

彼女のご両親との・・・  

彼女の現状認識の
甘さに然とする

彼女を駅まで送る。

婚約者は
新居から出る際
当たり前のように花束を手にした。

「えっ! 持って帰るの???」

「当たり前じゃん!
 薔薇の花束もらったの
 生まれて初めてなんだよ」


めちゃくちゃ嬉しそうにしている。
婚約したことよりも・・・


そして次の一言が
僕を凍り付かせた・・・・


(えっ! 何言っての???
 会ってもらえるわけないじゃん!)


「そうだね・・・
 近いうちに行けたらいいね」

曖昧な返事をする。

(君の家はこれから修羅場になるんだよ)


翌日
彼女のTwitterの
プロフィール画面は

バラ園に変わっていた。


(そんなに嬉しかったの?
 薔薇の花束をもらったことが)

君の頭の中もお花畑だ・・・


多分
婚約者はまだご両親に何も話してない。

薔薇、どう説明したの?

この婚約をどう思っているの??君は。

そう僕は不安になってしまった。 

それが僕を劇へと…

今になって振り返ると
プロポーズが成功する確率は
決して高くなかった。

以前は

「わたしと結婚する気あんの?」

とよく聞かれていた。

「あるある・・・」

と適当に返事していた僕。


しかし
彼女は転職した後
結婚の「」の字も出さなくなっていた。

結婚に対する
モチベーションが下がっていた。
明らかに。

事実
婚約者は
自分がサプライズのプロポーズを
希望していたことを忘れていた・・・


では
なぜ彼女は受け入れてくれたのか。


薔薇の花束が効いたのかな?

それが
彼女の判断を狂わせた・・・

僕も不幸へと導かれた・・・


やはり
 

第七六段

作:帰ってきた兼好法師 
Twitter:@Kenkohoshi_R

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