小学6年生。

僕は中学受験生だった。

塾の国語のテストで満点をとった。

答案を埋め尽くすくらいの
大きな文字で書いてあった!!!

100点


めちゃくちゃ嬉しかったのに

小さい文字で書かれた
先生からのコメントに絶望する。

「志望校に合格することが
瓢箪から駒』という感じ
 あるかもしれないね!」


(先生は僕の合格の可能性を
 そんなふうに思っていたんだ・・・)

授業

塾に行くのがイヤだった。

確かに週2回あったと思う。

火曜の授業が終わる・・・
解放感があるのは帰り道だけ。

家に到着すると
また木曜に塾がある・・・

そのカウントダウンが始まるのだ。


授業中、窓の外を見る。 

(あっ 鳥が飛んでいる・・・)

いなくなっても
ボケーとそこを眺めていた。

「○○君、大丈夫????」

さっきのコメントを
書いたP先生があきれ顔で言う。!

ホな僕・・・

その当時
初の外国人力士である高見山が
寝具メーカーのCMに出演していた。

そこでのフレーズが

2倍!2倍!

しゃがれ声でのそれは
とてもインパクトのあるものだった。


ある日。

何かのタイミングで
P先生が「2倍」と言った。

僕は反射的に「2倍、2倍」と
しゃがれ声で高見山のモノマネした。
  

もちろん
名乗り出ることはしない・・・

先生に反抗したかった訳ではない。

僕にそんな勇気はなかった。

怒られるのは物凄く怖かった・・・


でも
僕はバカなお調子者だったのだ。

ウケルと思ったことを
どうしてもいいたくなってしまう。

それがどんな結果を
もたらすかを想像できないのだ。


多分
P先生は犯人が
僕だと分かっていたんだと思う。


後日、母が塾に呼び出された。

「授業を妨害されて困っています」

そんなことを言われたらしい・・・

でも
その件で母から
それ以上のことは言われなかった。

うらべねよし

P先生から傷つけられた。

ずっとそう思っていた。

でも
塾講師になって分かったんだ。

僕だって
P先生を困らせてばかりいたんだ。


ある日のこと。

P先生が『徒然草は筆者は誰?』と発問した。

僕が指名された。

兼好法師と答えるは面白くない。

だから本名である
卜部兼好(うらべかねよし)と答えた。

僕は余計な知識はすぐに覚える。

教室は爆笑の渦に包まれた。

僕が頓珍漢な答えを
言ったとみんなが思ったからだ。


「なんで笑うんだ!!!」

P先生はピシャリと言った。

でも怒った理由を説明しなかった。

彼は沈黙していた。

仕方なく僕は「兼好法師」と答える。

「普通はそう言うよね・・・」

そう彼は言った。

P先生が「卜部兼好が本名なんだよ」
解説すれば僕を賞賛することになる・・・

それがイヤだったんだと思う。

笑いを止めることで僕の面目を保つ。

でも、それ以上の評価は与えない。

絶妙なジャッジだった。

果応報なのだ!

それくらい僕は憎まれていたと思う。

そう思われても仕方ない振る舞いをしていた。


だから
あのコメントで
その鬱憤を晴らしたのかもしれないのだ。


20年弱の塾講師生活。
数え切れない言葉を生徒に浴びせた。

そのうちのいくつかは
棘となって今でも刺さっているだろう。


それを考えただけで


ゾッとする・・・・

作:帰ってきた兼好法師
Twitter:@Kenkohoshi_R

ススメ記事

僕は忘れてしまっていた…

勉強はしたくないけど合格したい!そんな当たり前の『生徒の気持ち』だから言ってしまった暴言。そして自分が中学受験で落ちた日の記憶が蘇ったのです。

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